ソフトウェアの国際取引(クロスボーダー取引)
ソフトウェアと税務
ソフトウェアの国際取引
(1) 概要
ソフトウェアを海外から購入するなどの国際取引(クロスボーダー取引)も増加しています。これらの取引には色々な税金が課される場合もあるため、税務の面から述べてみたいと思います。
(2)取引の種類
色々なパターンがあるかとは思いますが、次の2種類を例とします。
①ソフトウェアを国外企業から購入する場合。
(国内に支店を有する場合を含む。)
②国外企業のソフトウェアを代理店として国内で販売する場合
(国内に子会社・支店を有しない場合。)
(3)購入する場合
①パッケージソフトウェアを購入する場合
これは商品を購入(輸入)する場合と同じとなりますので、基本的に輸入に伴う消費税が課されます。
②インターネット等を通じて購入する場合
この場合は電気通信利用役務の提供に該当します。さらにその中の「消費者向け電気通信利用役務の提供」に該当しますので、その国外企業が以下のいずれに該当するかによって変わります。
(a)登録国外事業者
購入代価は消費税の計算上、仕入税額控除の対象となります。この場合、請求書等には登録番号と課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨の記載のあるものが必要となります。
(b)(a)以外の国外事業者
購入代価は消費税の計算上、仕入税額控除の対象になりません。
(4)代理店として国内で販売する場合
①パッケージソフトウェアを購入・販売する場合
これは商品を購入(輸入)して、国内で販売する場合と同じとなりますので、購入(輸入)時に基本的には輸入に伴う消費税が課されます。販売する時は、国内での販売となりますから売上にかかる消費税が発生します。
②販売するための権利を取得して、インターネットを通じて配信する場合
国外事業者に支払う対価は、ソフトウェアに係る著作権等の譲渡又は貸付に該当しますから、電気通信回線を介して行われる役務の提供には該当しません。したがって、国外取引として消費税の課税対象外となります。
インターネットを通じたソフトウェアの販売は、電気通信利用役務の提供に該当します。そのため、国内取引として消費税の課税対象となります。
国外企業が、日本国内において業務を行う者から受ける著作権の使用料で、国内業務に係るものについては、国内源泉所得として源泉徴収が必要となります。その為、支払時に源泉徴収を行うこととなります。
ただし、租税条約を結んでいる国の国外企業の場合はその国との租税条約の内容を確認する必要があります。例えば国外企業が米国の企業である場合には、日米租税条約により、著作権の使用料は特典制限条項により日本では課税されないため、源泉徴収は必要ありません。
ソフトウェアは著作物に該当することから、その購入・販売については著作権法を含めた検討を行う必要があります。また、海外との取引にはその国との租税条約も関係してきますから、販売形態や取引の実体を十分に吟味する必要があります。今回の例も限定条件が多々あるため、それらの内容が若干でも異なる場合は結果が異なりますので十分ご注意下さい。
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