原価計算と税務
外注加工費(消費税との関係)
原価計算において、外注加工費の処理方法には外注加工の形態により以下の2種類に大別されます。
1.無償支給の場合
材料を無償で支給し、その加工を委託する場合。
2.有償支給の場合
加工する材料を売却し、加工の終わった部品や半製品を買い取る場合。
(この場合、材料の引渡価格は購入原価に一定率を上乗せした価格を用いるものがあり、今回の説明はこれを使います。)
これらの会計処理としては一般的には以下のようになります。
(材料の原価:800、加工賃:200、引渡価格:1,000)として
無償支給の場合
(外注加工費) |
200 |
(買 掛 金) |
200 |
(部 品) |
1,000 |
(材 料)(外注加工費) |
800 200 |
有償支給の場合
(未収入金) |
1,000 |
(材 料) |
1,000 |
(部 品) |
1,200 |
(買 掛 金) |
1,200 |
(材 料)(交付材料差益)(買 掛 金) |
200 200 1,000 |
(交付材料差益)(部 品)(未収入金) |
200 200 1,000 |
(この場合、外注加工費という科目は発生しません。)
どちらの場合も、最終的に(材料)が800減り、(部品)が1,000発生し、(買掛金)が200発生している結果となります。
ここで、消費税(率は5%とします。)を考えてみると以下のようになります。
(この部品を1、600で売ったこととします。また、上記金額は税抜価格とします。)
無償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%=80
(仮払消費税)800*5%+200*5%=50
(納付税額)80-50=30
有償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%+1,000*5%=130
(仮払消費税)800*5%+1,200*5%=100
(納付税額)130-100=30
どちらの場合でも、納付する消費税額は同じになります。
上記の消費税は原則的な方法で計算しています。しかし中小企業の場合には簡易課税制度を選択している場合もあります。
(簡易課税制度:課税売上高が5千万円以下の法人が仕入れにかかる消費税額(仮払消費税額)の代わりに、みなし仕入率(製造業の場合は70%)で計算することが出来る制度です。)
これで計算すると
無償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%=80
(みなし分)80*70%=56
(納付税額)80-56=24
有償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%+1,000*5%=130
(みなし分)130*70%=91
(納付税額)130-91=39
となり、有償支給の場合は納付税額が15増えてしまいます。
また、有償支給の場合は一般的に無償支給の場合に比べて課税売上高が増加することとなります。そのため課税売上高が無償の場合は5千万円以下だが、有償の場合は5千万円を超えてしまい、簡易課税制度が適用されなくなることも発生します。
税務上では、どちらを選択するは注意が必要です。
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