原価計算と経営・飲食店の経営(開始時)

原価計算と経営

飲食店の経営(開始時)

飲食店を始めようとする場合には、メニューを作成する必要があります。メニューの作成時には商品の値段を決めなければなりませんが、その際に原価を把握していなければ利益が出るのかどうかも判らないことになってしまいます。

例えば、ラーメン店を始めることとして周りのお店の状況を見てラーメン一杯の値段の平均が820円だったので800円で売ることとしたとしても一杯を作る金額が分からなければ利益が出るのかどうか分かりません。周りのお店で利益が出ていいたとしても、同じ作り方をするとは限らないからです。周りのお店のラーメンはチャーシューを1枚入れていたが、うちでは人気が出るように3枚入れようとしたら、チャーシューの原価が分からなければ他店より2枚増やして利益が出るかどうかわからないことになります。

そこで、原価を知るために「原価計算」が必要となってきます。一般にはエクセル等で作られた原価計算表で計算するのですが、通常の原価計算では“材料費”、“人件費”、“経費”を合わせて計算します。メニューの原価計算をする場合には“材料費”だけで計算する場合もありますが、“人件費”を含めて検討しておく方がのちのち役に立つ場面がでてきますので含めて計算します。“経費”については利益を考えるときにまとめて考える方法がありますので原価計算には含めません。この方法は原価計算では「直接標準原価計算」といいます。

例として、ラーメン店でラーメンの原価を計算するものの一部を載せておきます。例として作ったものですので実際とは異なっていることもありますが、雰囲気はわかると思います。

 

genkacard_02

このように、事前に作っておく“スープ”や“チャーシュー”は別に計算する必要があります。

メニューに載せるものの原価を計算しましたら、値段(売価)を決める作業に取り掛かることとなります。

この例では原価が278円になっていますので、この金額を使って考えてみます。500円でいいのでしょうか、800円なら大丈夫なのでしょうか、それを知るためには原価以外の金額、“経費”を知る必要があります。

売上から原価の合計を引いて“経費”を引いた残りが利益となります。“経費”の中には、電気・ガス・水道代や家賃などが含まれますので、自宅の一部でお店を開くのと駅前の一等地にお店を借りて開くのでは大きな違いが発生します。

そこで、利益がいくら出るかを計算するために、「損益計算」が必要になってきます。エクセル等で簡便な表を作成しておくと便利です。

例として、先ほどのラーメン店で損益を計算したものの一部を載せておきます。ラーメン以外にワンタンメン等も追加してみました。

sonekicard_02

この場合ですと、一か月に30万円強の利益が出ることとなります。

ここで重要なのは、売上の見込数量をどの様に決めるかということです。いくらお客様が来店されてもそれに対応して商品を出せなければ売上を増やすことは出来ませんので作るスピード等によって限界があることになります。そこで一杯当りの作成時間なども必要となってきます。また、作業の順番等も関係しますからそれを考慮するためPART図などの利用を考える必要があります。さらに、値段によって来店数も変わると思われるため売値を含めたシミュレーションも考える必要があります。

例えば、この例でラーメンの売価だけを500円にしたら、営業利益は赤字になってしまいます。

この様に、このシミュレーションは十分に注意して行う必要がありますが、これを行わないで値段を決定すると、実際に営業して結果が出るまで儲かるのかどうかは分からなくなってしまいますし、どの様にしたら経営が良くなるかも分析できなくなってしまいます。これらを事前に行うことが大切です。

 

ご質問をご希望の場合は、「コンサルタント会員」にて受け付けております。