原価計算と税務・直接原価計算での調整方法

原価計算と税務

直接原価計算での調整方法

直接原価計算とは、原価を変動費と固定費とに分解し、売上高からまず変動費を差し引いて貢献利益を計算し、貢献利益から固定費を差し引いて営業利益を計算することによって、正規の損益計算書上に、短期利益計画に役立つ原価・営業量・利益の関係を明示する損益計算の1方法です。

ただし、直接原価計算はいわゆる部分原価計算になりますので、制度会計上、外部報告として認められていません。したがって、仮に直接原価計算を期中の原価計算方式として採用している場合には、年度末にそれを全部原価計算方式に改めておかなければなりません。

基本的には、
全部原価計算の営業利益=直接原価計算の営業利益+期末在庫品中の製造固定費―期首在庫品中の製造固定費
で、実際の処理としては、

会計上は、

  1.  間接費として認識されている固定費について、期首の仕掛品・製品や期末の仕掛品・製品を勘案して、売上原価となる部分と期末在庫となる部分に個別製品ごとに再計算する方法
  2.  変動加工費を配賦基準として一括して固定費総額を売上原価(の変動加工費)と期末在庫(の変動加工費)に配賦してしまう方法

2種類があります。

税務上は、原価差額の調整になりますので、

  1. 原則
    原価差額のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。

となっています。

このため原価差額の調整は、仕掛品、半製品、製品といった段階的な調整方法(いわゆるころがし方式)で行うこととなります。

ここで以下の例で計算してみます。

【前提】
仕掛品はないものとします。
<変動費>           当年度                  前年度
直接材料費       1,500,000           1,200,000
直接労務費       2,000,000           1,800,000
____計       3,500,000           3,000,000
<固定費>
製造間接費        500,000              500,000
___合計       4,000,000           3,500,000
<生産・販売量>
期首                     2,000                       0
生産                    10,000             10,000
販売                     9,000                8,000
期末                     3,000                2,000
<販管費>                         300,000
<販売単価>                     @500
この場合の計算結果は、
【全部原価計算】
売上高    @500*           9,000                        4,500,000
売上原価
期首製品@350*         2,000    700,000
期中製品@400*       10,000  4,000,000
______合計                      4,700,000
期末製品@400*       3,000    1,200,000
______差引                      3,500,000           3,500,000
売上総利益                                                         1,000,000
販管費                                                              300,000
営業利益                                                             700,000

【直接原価計算】
売上高    @500*      9,000                              4,500,000
変動売上原価
期首製品@300*       2,000      600,000
期中製品@350*       7,000    2,450,000
______合計                       3,050,000           3,050,000
貢献利益                                                             1,450,000
固定費
製造固定費                                   500,000
販管費                                         300,000
__合計                                      800,000               800,000
実際営業利益                                                            650,000
となります。

棚卸資産原価の配分方法は先入先出法として調整額を計算すると、
固定費調整(先入先出)
期首分    500,000*2,000/10,000=                   △100,000
期末分    500,000*3,000/10,000=                            150,000
                                             修正後                 700,000
となり、全部原価計算の数値と同じになります。

この例では仕掛品が無いなど簡略化していますので、あまり複雑な計算にはなりませんが、実際は非常に複雑な計算となり、実務上その適用はほとんど不可能な状況です。

次に、
会計上で認められている一括して行う方法は、

  1. 特例
    「原価差額の簡便調整方法」(詳細はブログ「原価計算と税務・原価差額の調整方法」を参照願います。)と同じになります。

ただしこの方法は、
「法人が直接原価計算制度を採用している場合には、この調整方法の適用はない。ただし、この調整方法を適用することについて、合理性があると認めて所轄税務署長が承認をした場合には、この限りではない。」
となっており、直接原価計算では原則として適用が認められておりません。

ただし、期末棚卸資産又は固定費が少額であるなどの場合は、簡便法を適用することについて合理性があると税務署長が承認すれば適用することが可能となります。

上記【前提】で調整額を計算しますと、
簡便法調整額
前期分(売上原価算入分)
500,000*(@300*2,000)/(2,400,000+@300*2,000)=    △100,000
当期分(棚卸分)
500,000*(@350*3,000)/(2,450,000+@350*3,000)=     150,000
 _________________修正後              700,000

この式は、仕掛品がある場合等でもあまり複雑にはなりませんので、実務上でも適用することは可能な状況です。

ただし、簡便法によって一括配賦した原価差額は、翌期において発生した原価差額とは別に取扱い、翌期において一括して損金の額に算入することになります。
詳細はブログ「原価計算と税務・原価差額の調整方法」を参照願います。

 

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また、ご質問をご希望の場合は、「コンサルタント会員」にて受け付けております。

原価計算と税務・貸方原価差額の調整

原価計算と税務

貸方原価差額の調整

会計上では、「原価差異」と言います。
原価差異の計算は、
原価差異=標準原価-実際原価
となり、
差異の差が
プラスのものを 「有利差異(原価差益)」
マイナスのものを「不利差異(原価差損)」
といいます。

税務上は
不利差異(原価差損)を「原価差額」
有利差異(原価差益)を「貸方原価差額」
といいます。

原価差額の調整は、確定した決算にて行うのが原則(その額が少額の場合は例外規定があります。詳細はブログ「原価差額の調整(調整計算省略)」を参照願います。)で、原価差額のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算することになっています。

このため、この差額を確定決算で行わず、申告調整で調整することは認められていません。ただし、貸方原価差額のうちには、確定決算を終えたあとの申告調整によって生ずるものもあることから、

税務上では、
(申告調整できる貸方原価差額)
「法人が棚卸資産につき算定した取得価額が《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額を超える場合のその差額のうち、法又は措置法の規定により損金の額に算入されないため確定申告に際して自己否認した金額から成る部分の金額については、当該申告に係る申告書においてその調整を行うことができるものとする。」
という規定があります。

このため、税務否認金から成る部分の金額については、法人がその事業年度の確定申告書において調整した時は、その計算は認められることとなります。

以下に一例を示します。
原価標準が
材料費2,000円、加工費2,000円、間接費3,000円
(間接費は製造に使用する1.5億円で償却年数5年の機械の償却費のみとし、年間1万個生産して、期首仕掛品はなく、期末仕掛品は2千個(完成換算率は1)で材料費と加工費には原価差異はなかったものとします。)

ここで、機械の実際購入額が2億円だとすると、
標準原価:(2,000+2,000+3,000)*10,000=70,000,000
実際原価:(2,000+2,000+4,000)*10,000=80,000,000
(減価償却費:200,000,000*0.2=40,000,000
一個当たり40,000,000/10,000=4,000)
原価差異:70,000,000-80,000,000=-10,000.0000
となり、不利差異(原価差損)が発生します。

そこで確定決算においてこの差額を製造原価と期末仕掛品に按分します。

標準原価では
製造原価 :70,000,000*8,000/10,000=56,000,000
期末仕掛品:70,000,000*2,000/10,000=14,000,000
ですが、これに原価差額を加えると、
期末仕掛品:14,000,000+10,000,000*2,000/10,000=16,000,000
となり、この数字で確定決算を行うことになります。

ここで税務否認金が出ることにするため、機械の法定耐用年数が10年であったとします。(5年で機械が陳腐化して買換えていたため会計上は5年で償却していたとの前提にします。)

こうしますと、税務上の減価償却費は、
200,000,000*0.1=20,000,000
であり、
減価償却超過額:40,000,000-20,000,000=20,000,000
が発生し確定申告書で加算調整が必要となります。

減価償却超過額のうちには期末仕掛品の分も含まれていますからその対応する分の金額
20,000,000*2,000/10,000=4,000,000
は確定申告書で減算調整することとなります。

(以下に申告調整の内容を示します。)

 

【別表四】

 区分 総     額

処分

留     保

社外流失
区分 金額

加算 減価償却
超過額

20,000,000

20,000,000

減算 仕掛品
償却調整

4,000,000

4,000,000

【別表五(一)Ⅰ】

区分 期首現在利益積立金額

当 期  の  増 減

差引翌期首現在
利益積立金額

減価償却
超過額

20,000,000

20,000,000

仕掛品

△4,000,000

△4,000,000

 

となります。

 

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原価計算と税務・原材料受入差額

原価計算と税務

原材料受入差額

会計上では、「材料受入価格差異」といい、
原価差異の会計処理は、

  1. 実際原価計算制度における原価差異の処理は,次の方法による。
    材料受入価格差異は,当年度の材料の払出高と期末在高に配賦する。
    この場合,材料の期末在高については,材料の適当な種類群別に配賦する。
  2. 標準原価計算制度における原価差異の処理は、次の方法による。
    原価差異はすべて実際原価計算制度における処理の方法に準じて処理する。

となっています。

税務上では、
1.原則
原価差額のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。
となっています。

このため、材料を数種類使用している場合の計算は以下のようになります。
【前提】
三種類の材料を使用しているもととし、それぞれ期首棚卸はないものとします。
A材料
当期購入分 @101:2000個
材料払出分 @100:1500個
B材料
当期購入分 @199:1000個
材料払出分 @200: 900個
C材料
当期購入分 @305: 100個
材料払出分 @300:  80個

まず、「材料受入価格差異」は
A材料分
(101-100)*2,000=2,000
原材料払出高分:2,000*1,500/2,000=1,500
期末材料棚卸分:2,000*500/2,000=500
B材料分
(199-200)*1,000=-1,000
原材料払出高分:-1,000*900/1,000=-900
期末材料棚卸分:-1,000*100/1,000=-100
C材料分
(305-300)*100=500
原材料払出高分:500*80/100=400
期末材料棚卸分:500*20/100=100
となり、
材料受入価格差異を含めた期末材料棚卸高は
100*500+200*100+300*20=76,000
76,000+(500-100+100)=76,500
であり、翌期の期首材料棚卸高となるため翌期の計算は処理に手間がかかります。

そのため税務上では、
(原材料受入差額の処理の簡便計算方式)
「法人が原材料の受入れについて見積原価等を採用している場合に生ずる原材料受入差額について、当期原材料払出高と期末原材料棚卸高とに適正に配賦し、期末原材料棚卸高に対応する部分の金額を個々の資産に配賦しないで一括して処理しているときは、これを認める。
(注) 当期原材料払出高に対応する原材料受入差額は当期の原価差額に、期末原材料棚卸高に対応する原材料受入差額は翌期の製造原価に含めることに留意する。」
という簡便法があります。

これを使えば、材料受入価格差異は以下のような仕訳で済みます。
<期末>

(棚卸材料原価差額)

   500

(材料原価差額期末)

500

棚卸材料原価差額は資産勘定として、貸借対照表に記載することとなります。

<翌期>
翌期に発生した原価差額とは別に取扱い、一括して処理することとなります。

(製造原価)

500

(棚卸材料原価差額)

  500

 

また、材料受入価格差異を含めた当期原材料払出高は、
A材料:100*1,500+1,500=151,500
B材料:200*900-900=179,100
C材料:300*80+400=24,400
となります。

この当期原材料払出高に対応する原価差額に関する調整は、仕掛品、半製品、製品といった段階的な調整方法(いわゆるころがし方式)で行うこととなりますので、計算に手間がかかるのは免れません。

ただし、税務上では簡便調整計算を適用することができます。(簡便調整計算については、ブログの「原価計算と税務(原価差額の調整方法)」を参照願います。)

 

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原価計算と税務・原価差額の調整方法

原価計算と税務
原価差額の調整方法

原価差額及び原価差額が少額な場合の処理についてはブログ「原価計算と税務
原価差額の調整(調整省略の場合)」を参照願います。

 

ここでは、原価差額が比較的多額の場合(総製造費用の1%を超える場合)についての会計処理について説明したいと思います。
会計処理
会計上では、
原価差異の会計処理は、
1.実際原価計算制度における原価差異の処理は、次の方法による。
予定価格等が不適当なため、比較的多額の原価差異が生ずる場合、直接材料費、直接労務費、直接経費および製造間接費に関する原価差異の処理は、次の方法による。
(1) 個別原価計算の場合 次の方法のいずれかによる。
イ 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に指図書別に配賦する。
ロ 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦する。
(2) 総合原価計算の場合 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦する。

2.標準原価計算制度における原価差異の処理は、次の方法による。
原価差異はすべて実際原価計算制度における処理の方法に準じて処理する。
となっています。

税務上では、
1.原則
原価差額のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。
となっています。

このため原価差額の調整は、仕掛品、半製品、製品といった段階的な調整方法(いわゆるころがし方式)で行うこととなります。

ここで以下の例で計算してみます。
【前提】
1種類の製品を製造しており、会計処理は標準原価計算(パーシャルプラン)で行っており加工進捗度は1とします。また、期首には棚卸資産は無いもとします。

材料
当期発生額  1,414,000(1,400個)
仕掛品投入額  1,212,000(1,200個)
期末棚卸額    202,000( 200個)
労務費
当期発生額    905,000
仕掛品投入額   900,000
原価差額              5,000
間接費
当期発生額    303,000
仕掛品投入額       300,000
原価差額              3,000
仕掛品
完成品原価      2,000,000(1,000個)
期末仕掛品額      200,000(  100個)
原価差額         212,000
製品
売上原価       1,900,000(  950個)
期末製品額          100,000(   50個)

ますは、仕掛品で原価差額の労務費分(5,000)と間接費分(3,000)と材料費分(212,000)分を期末分と完成品原価に按分します。
期末分:(5,000+3,000+212,000)*100/(1,000+100)=20,000
完成品:220,000-20,000= 200,000
このため仕掛品期末棚卸高は 200,000+20,000=220,000
となります。

つぎに製品について上記の完成品対応分について計算します。
期末分  :200,000*50/(950+50)=  10,000
売上原価分: 200,000-10,000= 190,000
このため、製品期末棚卸高は 100,000+10,000=110,000
となります。

このように、期首棚卸が無い状況でも調整の計算は煩雑になります。

このようなことから、税務上では以下のようなものがあります。

「原価差額の簡便調整方法」
法人が各事業年度において生じた原価差額を仕掛品、半製品及び製品の順に調整することをしないで、その原価差額を一括し、次に掲げる算式により計算した金額を期末棚卸資産に配賦したときは、これを認める。

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となっています。

また、
「原価差額を一括調整した場合の翌期の処理」
法人が原価差額を個々の棚卸資産に配賦しないで一括して処理している場合には、その一括して処理している金額は、翌事業年度の損金の額に算入することができる。
とあります。

このため、簡便法によって一括配賦した原価差額は、翌期において発生した原価差額とは別に取扱い、翌期において一括して損金の額に算入することになります。

上記の例を使って計算してみますと、
配賦額:(5,000+3,000+212,000)*(200,000+100,000)/(1,900,00+300,00)=30,000
となります。

処理としては、
<期末>

(売上原価)
(棚卸資産原価差額)

190,000
30,000

(原価差額)

220,000

棚卸資産原価差額は資産勘定として、貸借対照表に記載することとなります。

<翌期>
翌期に発生した原価差額とは別に取扱い、一括して処理することとなります。

(売上原価)

30,000

(棚卸資産原価差額)

30,000

 

 

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原価計算と税務・原価差額の調整(調整省略の場合)

原価計算と税務

原価差額の調整(調整省略の場合)

原価差額(原価差異)とは

<会計上>
(会計上は原価差異と言います。)

原価差異とは、

  1.  実際原価計算制度において、原価の一部を予定価格等をもって計算した場合における原価と実際発生額との間に生ずる差額。
  2. 標準原価計算制度において、標準原価と実際発生額との間に生ずる差額。

を言います。

原価差異の種類としては、

  1. 実際原価計算制度
    ①材料副費配賦差異
    ②材料受入価格差異
    ③材料消費価格差異
    ④賃率差異
    ⑤製造間接費配賦差異
    ⑥加工費配賦差異
    ⑦補助部門費配賦差異
    ⑧振替差異
  2. 標準原価計算制度
    ①材料受入価格差異
    ②直接材料費差異
    ③直接労務費差異
    ④製造間接費差異

です。

原価差異の会計処理は、

  1. 実際原価計算制度における原価差異の処理は、次の方法による。
    ①原価差異は、材料受入価格差異を除き、原則として当年度の売上原価に賦課する。
    ②材料受入価格差異は、当年度の材料の払出高と期末在高に配賦する。この場合、
    材料の期末在高については、材料の適当な種類群別に配賦する。
    ③予定価格等が不適当なため、比較的多額の原価差異が生ずる場合、直接材料費、
    直接労務費、直接経費および製造間接費に関する原価差異の処理は、次の方法による。
    (1) 個別原価計算の場合 次の方法のいずれかによる。
    イ 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に指図書別に配賦する。
    ロ 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦する。
    (2) 総合原価計算の場合 当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦する。
  2. 標準原価計算制度における原価差異の処理は、次の方法による。
    ①数量差異、作業時間差異、能率差異等であって異常な状態に基づくと認められるものは、
    これを非原価項目として処理する。
    ②前記 1 の場合を除き、原価差異はすべて実際原価計算制度における処理の方法に準じて処理する。

となっています。

<税務上>
(税務上は原価差額と言います。)

原価差額とは、
法人が各事業年度において製造等をした棚卸資産につき算定した取得価額が、《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額に満たない場合におけるその差額。
を言います。

原価差額の税務上の処理は、

  1. 原則
    原価差額のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。
  2. 調整の省略
    原価差額が少額(総製造費用のおおむね1%相当額以内の金額)である場合において、法人がその計算を明らかにした明細書を確定申告書に添付したときは、原価差額の調整を行わないことができるものとする。
    (原価差額が少額かどうかについては、事業の種類ごとに判定するものとするが、法人が製品の種類別に原価計算を行っている場合には、継続して製品の種類の異なるごとにその判定を行うことができる。)

となっています。

このため、会計上の「比較的多額の原価差異」の意味を総製造費用の1%を超えるものとしてとらえれば、税務上も問題はないこととなります。

ここで、総製造費用の1%を超えるかどうかの判定における税務上の特例があります。

  1. 総製造費用が正確に計算できない場合。
    以下の計算式で計算した金額を使用できます。
    総製造費用=(製品受入高合計+仕掛品期末棚卸高+半製品期末棚卸高)
    -(仕掛品期首棚卸高+半製品期首棚卸高)
  2. 工場ごとに計算している場合
    税法上では、
    (原価差額が事業の種類ごと又は製品の種類の異なるごとの総製造費用のおおむね1%相当額を超える場合においても、法人が原価差額の調整単位を更に工場ごとに細分しているときは、各工場における当該調整単位ごとの原価差額のうちそれぞれの総製造費用の1%相当額以内のものについては、調整を行わないことができるものとする。)
    となっています。
    例として、
    X製品(総製造費用20,000,000、原価差額300,000)を
    A工場とB工場でそれぞれ以下の数値で
    A工場 X製品(総製造費用18,000,000、原価差額180,000)
    B工場 X製品(総製造費用 2,000,000、 原価差額120,000)
    製造していた場合
    X製品全体では
    300,000÷20,000,000=1.5%
    で1%を超えますが、
    A工場では
    180,000÷18,000,000=1.0%
    で1%を超えないので、A工場分は調整が不要となります。
  3. 計算期間を上期・下期に分けている場合
    税法上では、
    (事業年度が1年である法人の原価差額の調整は、継続適用を条件に、「上期」と「下期」とに区分し、それぞれの期間について行うことができる。この場合、上期及び下期のそれぞれの期間ごとに、その期間に発生した原価差額によりその調整の要否を判定する)。
    となっていますので注意が必要です。
    例として
    上期(総製造費用50,000,000、原価差額300,000)
    下期(総製造費用50,000,000、原価差額600,000)
    の場合、
    1年間では
    (300,000+600,000)÷(50,000,000+50,000,000)=0.9%
    で1%を超えていませんが、
    下期は
    600,000÷50,000,000=1.2%
    で1%を超えてしまっているため、調整の計算が必要となっています。

 

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また、ご質問をご希望の場合は、「コンサルタント会員」にて受け付けております。

原価計算と税務・製造間接費(税務上の特例)

原価計算と税務

製造間接費(税務上の特例)

<会計上>
原価計算において製造間接費とは、どの製品の製造に消費されたのかがはっきり区別できない原価であり、各製品に一定の基準によって按分するものです。具体的には、間接材料費・間接労務費・間接経費です。

材料費、労務費、経費のうち、間接材料費、間接労務費、間接経費について、その発生額を製造間接費元帳の各費目別勘定口座の借方に個々に計上し、これを一定の手続きによって各製品へ配賦をすることになります。

配賦の方法としては、
「実際配賦」
(配賦を製造間接費の実際額に基づいて行う方法。)

1.製造間接費の配布方法
①製造間接費の集計
②配賦基準発生数の集計
③製造間接費配賦率の算定(①÷②)
④製品別に製造間接費を配賦(③×製品別の配賦基準発生数)

2.製造間接費の配賦基準
製造間接費を配賦するための合理的な配賦基準として次のものがあります。
(1)価額的基準
直接費の金額を基準とするもので、3つあります。
①    直接材料費基準
②    直接労務費基準
③    素価基準(①と②の合計)
(2)物量基準
製造活動に要した物量を配賦基準とするもので、4つあります。
①    生産量基準
②    重量基準
③    直接作業時間基準
④    機械運転時間基準

上記の方法には
①    計算が遅延する。
②    製品の実際単価原価が操業度の変動によって、いちじるしく変化する。
という問題があります。

そこで、事前にあるべき配賦率を算定し、計算期間を通じてこれを使用する方法である
「予定配賦」があります。

<税務上>
税務上、「製造原価に算入すべきものの判定、直接費と間接費の区分、間接費の配賦基準等は、法令等に別段の定めがあるものを除いて、適正な原価計算の基準によること」とされているため、会計上の方法を適用していれば原則的には問題はありません。

ただし、税務上には
「法人の事業の規模が小規模である等のため製造間接費を製品、半製品又は仕掛品に配賦することが困難である場合には、その製造間接費を半製品及び仕掛品の製造原価に配賦しないで製品の製造原価だけに配賦することができる。」
という特例があります。

この方法で行えば、直接費だけで原価計算を行い、間接費はまとめて決算時に製造原価を算入すればよいことになります。
しかしこの適用を受けるためには、「事業の規模が小規模である等」と限定されている上に、具体的にそれがどの程度を示すか明らかでないため、この方法が税務上で否認される可能性があります。

特例を適用した場合とそれが認められない場合(基本的な原価計算の場合)での差異の例として、
材料費2,000円、加工費2,000円、間接費は製造に使用する2億円で耐用年数10年の機械の償却費のみとし、年間1万個生産して、毎年2千個の仕掛品(完成換算率は1)があったものとします。

特例の場合の仕掛品の金額は
(2,000+2,000)*2,000=8,000,000
となります。

基本的な原価計算であれば、
1個当たりの経費:200,000,000*0.1/10,000=2,000
仕掛品の金額は
(2,000+2,000+2,000)*2,000=12,000,000
となります。

上記の差額(4,000,000)だけ基本的な原価計算の方は売上原価が少なくなることになります。

この様な状況で税務調査行われて特例が認められなかった場合、利益を少なく申告していたことになり申告漏れを指摘され修正申告(追徴税額)が発生します。

そのため、特例の適用には注意が必要です。

 

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原価計算と税務・特別償却の取扱い(ソフトウェア等について)

原価計算と税務

特別償却の取扱い(ソフトウェア等について)

特別償却による償却額は、会計上の正規の減価償却手続によって費用配分されるものではなく、租税政策上の優遇措置として損金算入される項目なので、損益計算の観点からは費用性が認められません。

しかし、税法上では、
普通償却費・特別償却費ともに、「償却費として損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額を損金に算入する」
と規定されているため、確定した決算において償却費として損金経理することが必要になります。

そこで、租税特別措置法施行令では以下のような方法を認めています。

  1. 償却費として損金経理:
    償却費として費用に計上し、資産の帳簿価額を減額。
    (減価償却費)  ××  (減価償却累計額)  ××
  2. 損金経理による積立
    償却費として費用に計上し、特別償却準備金(負債)として積み立てる。
    (原則として、7年間に亘って均等額を取り崩し益金に算入します。)
    (減価償却費)  ××  (特別償却準備金(負債))  ××
  3. 剰余金の処分による積立:
    剰余金の処分により準備金として積立てる方法。
    (この場合、税務上は申告書で申告調整が必要となります。また、(2)と同様に
    原則として7年間に亘って益金に算入します。)
    (繰越利益剰余金)××  (特別償却準備金(純資産))  ××

株式を上場している企業等では、上記3.の方法を適用することとなりますが、中小企業では、計算事務に手数がかかるため通常は1.の方法を選択していることが多いかと思います。

このあとは、1.の方法での説明とさせていただきます。

1.会計上
製造等に使用される設備等に特別償却が適用された場合は、原価計算基準においては非原価項目となります。

<非原価項目>
非原価項目とは、原価計算制度において、原価に算入しない項目をいい、
おおむねつぎのような項目である。
(3)税法上とくに認められている損金算入項目、たとえば
1.価格変動準備金繰入額
2.租税特別措置法による償却費のうち通常の償却範囲額をこえる額
とあります。

そのため、原価に算入されるのは普通償却の分のみとなり、特別償却の分は別建てにして特別損失の項目に記載することとなります。

2.税務上
原則として製造等に使用する固定資産の償却費は製造原価に算入することとなっています。
そうなると、会計上と税務上の製造原価が合わなくなってしまうこととなりますが、税務上は以下のような特例を設けています。

(製造原価に算入しないことができる費用)
次に掲げるような費用の額は、製造原価に算入しないことができる。
(3)措置法に定める特別償却の規定の適用を受ける資産の償却費の額のうち特別償却限度額に係る部分の金額

例として、製造に使用する100万円のソフトウェアを購入して、これが「中小企業等投資促進税制」の適用を受けることが出来たものとします。また、購入・使用開始は期首にあったものとします。(消費税は税抜経理)

ソフトウェアの法定耐用年数は5年、中小企業等投資促進税制の特別償却限度額は30%ですので、

初年度
普通償却分:1,000,000*0.2=200,000
特別償却分:1,000,000*0.3=300,000

(減価償却費)(特別償却費)

200,000

300,000

(減価償却累計額)

500,000

(製造間接費)

200,000

(減価償却費)

200,000

(特別損失)

300,000

(特別償却費)

300,000

2年度
普通償却分:1,000,000*0.2=200,000

(減価償却費)

200,000

(減価償却累計額)

200,000

(製造間接費)

200,000

(減価償却費)

200,000

となり、原価計算上は毎年均等な金額が算入されることとなります。

 

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原価計算と税務・棚卸資産の取得価格(保管料)

原価計算と税務

棚卸資産の取得価格(保管料)

原価計算において、材料費の取扱・保管料は理論上、
材料購入原価=材料購入代価+材料引取費用+材料取扱・保管料
によって計算すべきとされています。

実務上は次の方法を採用しているといわれています。
材料購入原価=材料購入代価+材料引取費用

この場合、材料取扱・保管料は、間接経費として、他の間接経費とともに、製品に配賦されることとなります。

また、製造に伴う運搬・検査の費用は、間接労務費として、やはり製品に配賦されることとなります。

このため、これらの費用は棚卸資産の価格に含まれることとなります。

税法上は、
(1) 製造等の後において要した検査、検定、整理、選別、手入れ等の費用の額
(2) 製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
上記のものは、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の製造原価のおおむね3%以内の金額)である場合には)
となっているため、これらの費用を販売費・一般管理費とすることも可能です。

基本的に、製造等に関係する保管料は製品に配賦され、棚卸資産の価格を形成することとなります。

一般に製品を販売するための間に保管する費用は、原価計算には含まれずに販売費・一般管理費として処理されることとなります。

しかし、税務上では上記(3)にあるように製品の保管料を原価に参入する必要があるものがあります。(少額の場合は必要ありません。)

通常に製造して販売するものは、
税法上、
棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
とあって、金額の多寡にかかわらず算入する必要はありませんが、

季節商品などについては、注意が必要です。

例えば、天然氷を12月頃に製造して、冷凍倉庫に保管しておいて7月に販売するとした場合には適用される可能性はあります。

冷凍倉庫の保管料が1パレット(1m*1m*1.7m)で80円/日とすると、これに乗る原氷(135Kg)は8つ程度になるもの思われますので、半年分の保管料は。
80円*180日/8=1,800円
原氷の原価を1,000円とすると、保管料が3%を超えているため(3)に該当するため棚卸資産の取得価格に参入する必要があります。

この場合、3月末が決算の企業ですと、3月末の棚卸資産の価格は
それまでの保管料が
80円*90日/8=900円ですので
1,000円+900円=1,900円
とする必要があります。
(ただし、実際の場合は氷室で保管しているものと思われるので、こんなに保管料は掛からないはずなので適用はされないと考えられます。)

 

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原価計算と税務・外注加工費(消費税との関係)

原価計算と税務

外注加工費(消費税との関係)

 

原価計算において、外注加工費の処理方法には外注加工の形態により以下の2種類に大別されます。

1.無償支給の場合

材料を無償で支給し、その加工を委託する場合。

2.有償支給の場合

加工する材料を売却し、加工の終わった部品や半製品を買い取る場合。

(この場合、材料の引渡価格は購入原価に一定率を上乗せした価格を用いるものがあり、今回の説明はこれを使います。)

 

これらの会計処理としては一般的には以下のようになります。

(材料の原価:800、加工賃:200、引渡価格:1,000)として

無償支給の場合

(外注加工費)

200

(買 掛 金)

200

(部   品)

1,000

(材   料)(外注加工費)

800

200

有償支給の場合

(未収入金)

1,000

(材   料)

1,000

(部  品)

1,200

(買 掛 金)

1,200

(材  料)(交付材料差益)(買 掛 金)

200

200

1,000

(交付材料差益)(部  品)(未収入金)

200

200

1,000

(この場合、外注加工費という科目は発生しません。)

どちらの場合も、最終的に(材料)が800減り、(部品)が1,000発生し、(買掛金)が200発生している結果となります。

ここで、消費税(率は5%とします。)を考えてみると以下のようになります。

(この部品を1、600で売ったこととします。また、上記金額は税抜価格とします。)

無償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%=80
(仮払消費税)800*5%+200*5%=50
(納付税額)80-50=30

有償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%+1,000*5%=130
(仮払消費税)800*5%+1,200*5%=100
(納付税額)130-100=30

どちらの場合でも、納付する消費税額は同じになります。

上記の消費税は原則的な方法で計算しています。しかし中小企業の場合には簡易課税制度を選択している場合もあります。

(簡易課税制度:課税売上高が5千万円以下の法人が仕入れにかかる消費税額(仮払消費税額)の代わりに、みなし仕入率(製造業の場合は70%)で計算することが出来る制度です。)

これで計算すると

無償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%=80
(みなし分)80*70%=56
(納付税額)80-56=24

有償支給の場合
(仮受消費税)1,600*5%+1,000*5%=130
(みなし分)130*70%=91
(納付税額)130-91=39

となり、有償支給の場合は納付税額が15増えてしまいます。

また、有償支給の場合は一般的に無償支給の場合に比べて課税売上高が増加することとなります。そのため課税売上高が無償の場合は5千万円以下だが、有償の場合は5千万円を超えてしまい、簡易課税制度が適用されなくなることも発生します。

税務上では、どちらを選択するは注意が必要です。

 

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原価計算と税務・材料費の計算(棚卸資産評価方法)

原価計算と税務

材料費の計算(棚卸資産の評価方法)

 

原価計算において、材料費を計算する場合には消費数量に消費単価を掛けることにより算出していますが、その時の消費単価の計算方法としては、

  1. 先入先出法
  2. 移動平均法
  3. 総平均法

などが一般です。

また、期末材料費についても、実地棚卸の数量に上記方法のうち選択したものにより計算しているものと思います。

 

税法上、認められている棚卸資産の評価方法には、

  1. 個別法
  2. 先入先出法
  3. 後入先出法
  4. 総平均法
  5. 移動平均法
  6. 単純平均法
  7. 最終仕入原価法
  8. 売価還元法

の8つがあり、さらにそれぞれに原価法と低価法があるため厳密には16通りの評価方法があります。

 

税法上では、法定評価方法というものがあります。これは、棚卸資産の評価方法について税務署に届出をしていない場合に、これで計算しなさいというものです。

 

棚卸資産の法定評価方法は「最終仕入原価法(原価法)」です。

 

最終仕入原価法とは、

(期末棚卸資産をその種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、当該事業年度終了の時から最も近い時において取得をしたものの一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額とする方法)

です。

 

そのため、届出をしていないことを知らないで例えば「総平均法」で計算してしまうと問題が発生することになります。

 

次の例で確認したいと思います。(期末材料は実地棚卸の数値とします。)

総平均法

摘要 単価 数量 金額
4月1日 期首材料

10,000

100

1,000,000

6月1日 材料購入

12,000

200

2,400,000

7月1日 材料消費

14,000

100

1,400,000

1月1日 材料購入

18,000

200

3,600,000

2月1日 材料消費

14,000

300

4,200,000

3月31日 期末材料

14,000

100

1,400,000

消費単価=(1,000,000+2,400,000+3,600,000)/(100+200+200)=14,000

これにより、当期に材料費となるのは5,600,000となります。

 

最終仕入原価法

摘要 単価 数量 金額
4月1日 期首材料

10,000

100

1,000,000

6月1日 材料購入

12,000

200

2,400,000

7月1日 材料消費

13,000

100

1,300,000

1月1日 材料購入

18,000

200

3,600,000

2月1日 材料消費

13,000

300

3,900,000

3月31日 期末材料

18,000

100

1,800,000

消費単価=(1,000,000+2,400,000+3,600,000-1,800,000)/(100+300)=13,000

これにより、当期に材料費となるのは5,200,000となります。

 

仕掛品、製品等に棚卸が無いとした場合は上記の差額(400,000)だけ税務上の方は売上原価が少なくなることになります。つまり総平均法で計算して申告していた場合は利益を少なく申告していたことになります。

 

この様な状況で税務調査行われると、申告漏れを指摘されることとなり、修正申告(追徴税額)が発生します。

 

そのため、棚卸資産の評価方法には注意が必要です。

 

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