原価計算と経営・飲食店の経営(営業時)

飲食店を始めようとする場合にメニューの原価が大切であることはブログ「原価計算と経営・飲食店の経営(開始時)」に記載しております。今回はお店を経営していく中で自店の状態を把握する方法について説明したいと思います。

税務署に申告をするためには、売上・仕入・経費の金額を帳簿や会計ソフト等により集計して決算書を作成する必要がありますので、そこまでは行っていると思います。

この場合、売上はレジスター等により集計された1日分の金額をまとめて入力するのが一般的ではないでしょうか。また、仕入・経費等についても請求書や領収書等の金額をそのまま入れていると思います。

決算書を作成する場合は、これで問題はありませんが、開店時に考えていた利益が実際にはどうなったか、当初の予定どおりなのか等は分かりません。そのため、問題があった場合(利益が出ない等)にも、その対処方法を検討することが出来ないこととなります。

そこで、“原価計算”を利用することによりお店の現状を把握することが必要となります。そのためには事前(開店前等)に原価計算表等で標準原価を把握しておく必要があります。この先は、標準原価を事前に把握しているものとして説明します。(標準原価の把握方法は、ブログ「原価計算と経営・飲食店の経営(開始時)」を参照して下さい。)

原価計算により分析を行うためには、決算書を作成した時に入力したデータだけでは不十分です。

さらに必要とされるデータとしては、

  1. 売上については商品(メニュー)別の売上数の明細。
  2. 仕入については仕入れた商品別の数量(重量等)の明細。
  3. 経費についてもその明細。
  4. 人件費についてはどの作業にどのくらいの時間がかかった等の明細。

などです。

これらのデータを毎日集めることが出来る方は、これらのデータを分析して詳細な内容を検討することが出来ますが、実際にはなかなか難しいのではないでしょうか。

そこで売上の明細だけでも集めることが出来れば、原価計算による分析が可能となります。

売上の管理については一般にはレジスターを使用していると思われます。レジスターに商品ごとの売上が出力できるものを使用すれば売上の明細データを入手することは可能です。レジスターによってはそのデータをパソコンに移せるものもありますので、この場合は手でパソコン等に入力する必要もなくなります。

売上の詳細データと標準原価表があれば、当初(開店時)との相違点等についてはある程度の分析が出来るようになります。

例として、ブログ「原価計算と経営・飲食店の経営(開始時)」で作成した“ラーメン店”での標準原価等を利用して計算したものを以下に表示します。(前提として、一か月分のデータを会計として入力し“損益計算書”が出来ているものとします。)

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このように事前に作成していた標準原価と実際原価を比較することにより、当初考えていた材料費よりも発生している材料費が多いことがわかります。また、工数(人件費)はほぼ考えていた範囲であり、経費は考えていたより出費が多いこともわかります。これらにより、材料費と経費について対応を検討すれば良いことがわかります。

さらに細かく分析しようとするならば、仕入の明細を集計して分析するとか、数か月分のデータを集めてそのバラツキ等からメニュー別の影響度を分析することも考えられます。

この様に、原価計算を行うことにより現状を分析することが可能となり、どの様にしたら経営を良くできるかも検討することが出来るようになります。これらを行うことが経営上大切です。

 

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