原価計算と税務・棚卸資産の取得価格(保管料)

原価計算と税務

棚卸資産の取得価格(保管料)

原価計算において、材料費の取扱・保管料は理論上、
材料購入原価=材料購入代価+材料引取費用+材料取扱・保管料
によって計算すべきとされています。

実務上は次の方法を採用しているといわれています。
材料購入原価=材料購入代価+材料引取費用

この場合、材料取扱・保管料は、間接経費として、他の間接経費とともに、製品に配賦されることとなります。

また、製造に伴う運搬・検査の費用は、間接労務費として、やはり製品に配賦されることとなります。

このため、これらの費用は棚卸資産の価格に含まれることとなります。

税法上は、
(1) 製造等の後において要した検査、検定、整理、選別、手入れ等の費用の額
(2) 製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
上記のものは、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の製造原価のおおむね3%以内の金額)である場合には)
となっているため、これらの費用を販売費・一般管理費とすることも可能です。

基本的に、製造等に関係する保管料は製品に配賦され、棚卸資産の価格を形成することとなります。

一般に製品を販売するための間に保管する費用は、原価計算には含まれずに販売費・一般管理費として処理されることとなります。

しかし、税務上では上記(3)にあるように製品の保管料を原価に参入する必要があるものがあります。(少額の場合は必要ありません。)

通常に製造して販売するものは、
税法上、
棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
とあって、金額の多寡にかかわらず算入する必要はありませんが、

季節商品などについては、注意が必要です。

例えば、天然氷を12月頃に製造して、冷凍倉庫に保管しておいて7月に販売するとした場合には適用される可能性はあります。

冷凍倉庫の保管料が1パレット(1m*1m*1.7m)で80円/日とすると、これに乗る原氷(135Kg)は8つ程度になるもの思われますので、半年分の保管料は。
80円*180日/8=1,800円
原氷の原価を1,000円とすると、保管料が3%を超えているため(3)に該当するため棚卸資産の取得価格に参入する必要があります。

この場合、3月末が決算の企業ですと、3月末の棚卸資産の価格は
それまでの保管料が
80円*90日/8=900円ですので
1,000円+900円=1,900円
とする必要があります。
(ただし、実際の場合は氷室で保管しているものと思われるので、こんなに保管料は掛からないはずなので適用はされないと考えられます。)

 

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